きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 あの光のほうから聞こえる気がする。
 彼女は声を頼りに泳ぎ始めた。
 この先には渓谷がある。そこから響いているのだろうか。

 そうして到達した地点……渓谷に今にも落ちそうな場所に、四角の板があった。声とともにほんのりと発光しているのはそれだった。中には海上で見たのと似たひょろりとした姿が映っている。

 彼はこれを拾ってほしかったのだろうか。
 イルカが察した直後、ふっと明かりが消えて声が消えた。

 もうどこにあるのか、暗闇の中では判別がしにくい。
 もうそろそろ息が苦しい。もう水面に上がりたいが、上がってしまえばこの場所がわからなくなるかもしれない。
 こっこっこっ。ぎいぃぃぃ。
 扉がきしみながら開くようなクリック音を何度も発し、反射を確認する。

 あの辺りか。
 鼻先でさぐると、なにか平たいものが当たった。

 これか。
 くわえようとした瞬間、四角の板が渓谷に向かって落ちる。

 が、彼女はたやすく追い付き、それをくわえる。
 彼女は一転して海上を目指す。

 明るい海面は、光をうけてゆらゆらときらめいていた。

***

 かおるが海に落ちたのを見た雄介は、チャンスだ、と思った。
 すぐさま操縦室に行き、外を見られないように体で入口全体を隠して船長に言う。
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