きらきらしてきれいだった【アルトレコード】

***

 イルカに押されて浮上したサンゴは、ぴくりとも動かなかった。
 かおるは波に負けじと泳いでサンゴにすがりつく。
「サンゴくん、大丈夫?」
 声をかけるが、まったく反応がない。
 悟ったかおるは絶望して彼の体を撫でた。

「ごめん……無理させちゃったんだね。ごめん……」
 知らず、涙がこぼれる。
 なにをしているんだろう。アルトを海に落として、サンゴを故障させて。

 AIを大切にしたいと思って転職し、北斗の「AIと共に生きる未来」の夢に共感し、アルトを幸せにしたい、その実現に向かってがんばってきた。
 なのに、現実には夢の実現どころか、AIを苦しめているようにしか思えない。

「アルト……」
 せめてここで一緒に……。
 そう思ったときだった。
 ざばあ! と水音を立ててなにかが浮き上がって来た。

「きゃあ!」
 とっさにサンゴにしがみつき、波に耐える。
 しぱしぱする目を必死にこらして見たそこにいるのは、イルカだった。

「え……」
 その細く伸びた口にあるのは。
「アルト!?」
 かおるは叫ぶ。
 そっと手を伸ばすと、イルカは意を察したかのようにそれを渡してくれた。
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