きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
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イルカに押されて浮上したサンゴは、ぴくりとも動かなかった。
かおるは波に負けじと泳いでサンゴにすがりつく。
「サンゴくん、大丈夫?」
声をかけるが、まったく反応がない。
悟ったかおるは絶望して彼の体を撫でた。
「ごめん……無理させちゃったんだね。ごめん……」
知らず、涙がこぼれる。
なにをしているんだろう。アルトを海に落として、サンゴを故障させて。
AIを大切にしたいと思って転職し、北斗の「AIと共に生きる未来」の夢に共感し、アルトを幸せにしたい、その実現に向かってがんばってきた。
なのに、現実には夢の実現どころか、AIを苦しめているようにしか思えない。
「アルト……」
せめてここで一緒に……。
そう思ったときだった。
ざばあ! と水音を立ててなにかが浮き上がって来た。
「きゃあ!」
とっさにサンゴにしがみつき、波に耐える。
しぱしぱする目を必死にこらして見たそこにいるのは、イルカだった。
「え……」
その細く伸びた口にあるのは。
「アルト!?」
かおるは叫ぶ。
そっと手を伸ばすと、イルカは意を察したかのようにそれを渡してくれた。