きらきらしてきれいだった【アルトレコード】

***

『通常起動、失敗。セーフモードで起動しますか?』
「セーフモード、スタート」
『了解、セーフモードで再起動。……再起動成功、自動修復開始』
 彼につながれたモニターには文字が点滅していた。
 やがて点滅が消えると、プログラムが勢いよくスクロールしていく。

 ややあって自動修復完了を告げる音が響いた。
 彼はうっすらと目を開けた。
 そこには男性と女性、ふたりの人間がいた。

「セーフモードで再起動成功。だけど、もとのデータのほとんどは壊れてるね」
 男性の声は冷静だった。
「そうですか……」
 応じる女性の声には落胆がある。どちらも聞いたことがある気がしたが、誰なのか判断がつかない。

「バックアップがあるから、修理してそれを入れようか。ちょうど前日にメンテナンスしていて良かった。ほぼもとのサンゴになるよ」
「本当ですか!? 良かった!」
 女性の声が響いたあと、彼は再び電源を落とされ、眠りについた。

 彼が再び目覚めたとき、ふと見ると、そこは海に接続したプールだった。湾から注ぐ海水を利用しているもので、ここが自分が所属する場所なのだと、彼はそう知っていた。

 彼はデータをロードする。
 一カ月分の記録が飛んでいるが、AIである彼にとっては大きなできごとではない。
 海とのゲートに、一頭のイルカがいるのが見えた。
 なんだか知っている個体のような気がする。が、野生のイルカの仲間なんていないはずだ。
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