きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「バックアップを入れて再起動したよ」
 男性の声がする。声を照合し、点検に来た人だ、とわかった。
「サンゴ、大丈夫なの?」
 子どもの声に、男性が答える。

「一カ月かかったけどボディの修理は完了してる。あの日の記憶はないけど、大丈夫だよ」
「じゃあ、ぼくのことも忘れちゃったの?」
「前日までの記憶はあるから、アルトのことも覚えてるよ」
「そっか。よかった、直って……」
 ほっとする声が、なんだか優しく響く。

「もう大丈夫だからね。ありがとう、サンゴ」
 慈しむように名前を呼ばれ、女性に頭を撫でられた。サンゴはそれに応えるように胸ビレを動かした。

「ぼくも撫でたいなあ」
 ぼやく声とともに、スマホの中に少年が見えた。この少年には覚えがある。ショーが終わったあと、ちょっと一緒に遊んだ。大好きだと言ってくれて嬉しかった。

「先生、ぼくのぶんまで撫でて」
「わかった」
 返事とともに、優しい感触が額を撫でる。撫で方が優し過ぎて、なんだかくすぐったい。

「ありがとう、サンゴ」
 少年の優しい声に、サンゴはきゅいきゅいと鳴いて答えた。
 彼の笑顔は、きらきらしてとてもきれいだった。
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