満月に引き寄せられた恋〜雪花姫とツンデレ副社長〜
そんな私を気遣うように、熊男はふと話題を変えてくれる。


「……、今日の月、でっかいな」


空を見上げている彼に、そっと教えてあげた。

「今日は満月。バックムーンだよ。また一緒に、同じ場所で同じ満月を見てるね」

「おまえ、俺がレッドロックにいたの気づいてたのか? おまえは、月の絵を描いてたんだろ?」

どうやらあの夜、お互いに気づいていたらしい。

満月を見上げながら、熊男がふっと笑った。
その穏やかな目が、今度はまっすぐ私に向けられる。


「二度あることは三度ある、か……。俺たちの偶然の出会いも、三回目だ。今回の満月は“二度目”。……、なあ、来月も一緒に満月を見てやってもいいぞ」


ニヤリと笑う顔は、まるで悪戯好きな男の子みたい。

……、でも、やっぱり熊男は熊男!

その上から目線、なにさっ!


「な、なんでそんなに偉そうなのよ!?
私だって、来月は忙しくなってるかもしれないし、他の人と──」

「──おまえは、俺のそばにいればいいんだよ」


遮るように、彼は真剣な声で言った。


「これからも、ずっと俺が守る。だから、来月だけじゃない。来年も、その先も……、満月を見るのは、俺とだけだ」


温かくて大きな手が、そっと私の頬に触れる。

……、これって、彼も私のことを……?

胸がドキドキして、久しぶりに心がときめいた。


「まあ、おまえみたいな口の悪い熊女を手懐けられるのは、俺くらいだしな」


あああもう……!

やっぱり熊男!!

反撃しようとした瞬間、ぐいっと頭を引き寄せられ、唇にやさしい温もり。


「……、もう、黙れよ」


再びそっと触れたキス。唇が熱を帯び、心の中がほんわか温かくなる。


「これからも、おまえの絵を描き続けろ。
心をあたためてくれる、おまえの絵を。
……、おまえの全部を受け入れるから。
早く俺だけのものになれ」


そう言って、そっと私の肩を抱き寄せながら、ふたりで満月を見上げた。

 

先月の満月に、私は願った。
あの、苦しくて逃げ出したかった夜に。

自分の居場所が見つかりますように。
いつかまた、誰かを愛せますように。
そして、そんな自分を許せますように。

ーー熊男との出会いで、全部が叶った。

じゃあ、今夜のバックムーンには……、何を願おう?

熊男と、ずっと一緒にいられますように。
人を癒す絵を、これからも描き続けられますように。



Dear ストロベリームーン、
新しい居場所を、見つけられました。
再び、誰かを愛することができました。
そして、幸せになってもいいんだと、許せました。

……、何より熊男に出会わせてくれて、

ありがとう。

 

The End



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