心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「食事も済んだし帰るよ」

「もう帰っちゃうの…泊まれば明日ショッピングに行ってお洋服を」

赤ワインの付いた服を高級ブランドの袋に入れ「染み抜きしてはみたけど」と切なそうに私に手渡した。

「あの、このお洋服を貸して頂いただけでも助かります」

この紙袋と同じブランドの黒地に黒のレースを胸元をあしらったミニドレスを奥様から借りて着替えてはみたが…似合わない。
自分でも吹き出しそうになるのを堪えて彼の帰宅宣言に乗っかった。

「これが一番背丈に合ってたんだけど」

「いやいや、私の低い身長のせいなんで」

170近い奥様と私の身長は10㎝以上。
昔着てたと言うミニドレスも膝丈。
でもそこだけが問題では無くウエストが苦し過ぎる。

「それで車乗れるの?」

彼の耳打ちにイラッとするけど笑顔を絶やさない。

「陽翔、千湖さんにあんまり心配かけるなよ。噂の件もきちんと謝って今後こんな事がないように」

社長の温かいお言葉に残念な気持ちを隠して高級ホテルのような実家を後にした。

「あの…そこの交差点で降ろして下さい」

車に乗った途端ウエスト部分をムダな贅肉が広がり締め付けて行く。
実家から離れた所でさすがに限界!
ウエスト部分の締め付けのせいで気分も悪くなる。

「停めて」

ゴツい運転手さんに声を掛けると窓の外を見ていた隣の彼も私の顔色を見るなり一言発し車はゆっくりと路肩に駐車した。

「先に帰って良いので」

私が先に降りてもドアは閉まらない。
中では運転手と彼がやり取りをしてるけど全く聞こえず彼は降りて来た。
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