心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「一人で帰れますから」

私の言葉は車の音や通り過ぎて行く人の話し声にかき消されて乗って来た車は走り去ってしまった。

「今からでも迎えを」

「行くぞ」

声は少し怒ってるように聞こえるのに私の腕を掴む手は優しすぎてそれ以上は何も言えず黙って隣を歩き出す。

「荷物は先生の自宅に運んで貰うから」

「何から何までありがとうございます」

いつもと感じが違ってむずがゆい。
腕を優しく掴まれてる事も不思議な感覚で手を軽く振りほどこうとするけど力を込められて解けない。

「気分が悪いの?」

「ふわふわしますけど気分は良くなってきました。タクシー捕まえましょうか」

掴まれたままの手を引っ張って足を止めようとしたけど意外にお酒が回ってるみたいでフラついて段差に足を取られた。

「あっぶな」

彼の腕が背中に感じて私はコケる事なく動悸が大波のように押し寄せふわふわからクラクラに変わって行く。

「おい。大丈夫か?」

「えっと…大丈っ…ぶ。うっ」

背を曲げた途端またもウエストが締め付けられて私は彼に嘔吐してしまった。


ジャーッ

水音がピタッと止まりベッドに浅く越し掛けた私は即座に床に正座して歩いてくる彼に深々と頭を下げた。

「凄いなここ。照明も変すぎだろ」
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