心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
声のトーンで怒りを感じないから頭を上げる。

いかにも安そうな生地のガウンに身を包んでいつもは見た事もない好奇心いっぱいの顔でベッドサイドのボタンを押しまくってる。

至る所の照明が点けては消しを繰り返し飽きたみたいだ。

「スーツ駄目にしちゃって怒ってないんですか?」

私の嘔吐物でまみれたスーツは一応水洗いをしたものの生まれ付き王子様の彼は二度と着ないだろう。

「こんなんで怒ってたら会社背負えないだろ」

フッと笑って今度は興味津々でテーブルに置いてあるメニュー表に目を落とした。

「でも…咄嗟とは言えこのホテルって」

ラブホテル。
人生初が傾国の美男(イケメン)と感傷に浸る間もなく部屋番号のボタンを押されてた。

「他社のホテルは絶対に俺が無理。自社のホテルは先生が嫌だろ」

アンナグランデの専務が他社を使うのは嫌なのも分かるし社内の人に見られるのを嫌がる私を気遣ってくれたのも分かるけどこの安っぽさが彼に合わない。

「それに噂の件、俺が言った事が本当って分かった?」

「ですね」

ふらついて抱き寄せられた身ですから同意するしかないけど私の目的は内定取り消しなんだから本当か嘘かなんてどうでも良いのが本音。

「どうでも良いって顔に書いてる」

本音が顔に出やすい質らしい。

「ははっ。そんな事は」
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