冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない

第1部 運命の出会い

アルミナ王国を率いるアーサリオン王は、隣国エスタリア王国を侵略しようと、その山間部族を攻撃していた。

戦火は次第に激化し、山間の部族はアルミナに敗れ、酷い戦火に見舞われる。

エスタリア王国の王は高齢で、戦場に赴くことができなかった。

王太子アルトリアスもまた病に倒れ、戦地に赴くことができず、王国を守る者がいないまま、状況は悪化していった。

「こんな時に、何もできないでいるなんて…」

私は手のひらで唇をかみしめ、静かに呟いた。

彼女は兄アルトリアスの病を見守りながら、家族が国を守るために立ち上がれない現実に、無力感を感じていた。

「お姉様、どうしたらいいのでしょう?」

10歳のアドリアンが不安げな表情で私に問いかける。

その幼い顔に、無力さと恐怖が浮かんでいる。

私は弟の頭をそっと撫でながら、重い口を開く。

「アドリアン、あなたにはまだ、戦う力はないけれど、これからどうするべきか考えなければならない。今は私たちがしっかりしなければいけないの。」

私は、家族を守るため、そして王国を守るために自分にできることを模索していたが、その道が決して容易でないことを痛感していた。
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