冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
その言葉が、また胸を突いた。

兄の優しさと切なさが溢れていた。

彼の思いが重くのしかかり、私は無言で頷く。

「はいっ!」

私は目を閉じて深呼吸をした。

自分がどれほど怖れているかを隠し、強く生きなければならないと自分に言い聞かせる。

「リュウス、行くぞ!」

私は決意を新たにして、リュウスを見つめた。

彼はすぐに返事をして、力強く一歩を踏み出す。

「はい、姫様!」

リュウスの力強い声と共に、私たちは王国のために、そして家族を守るために、未知の道を歩み始める。

私とリュウスは、馬に乗り、エスタリアを後にする準備を整えた。

アドリアンが不安そうに私に尋ねる。

「本当にそれだけの荷物で行くのですか?」

彼の心配そうな声を聞き、私は微笑んで答える。

「アドリアン、留守を頼む。」

彼の目に迷いが見えたが、無言で頷く。

若き王子が王国を任され、どれだけ重い責任を感じているのか、私には痛いほど分かる。
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