冷徹な国王は隣国の王女を愛してやまない
「大丈夫です。」

私はその手をしっかりと握り返した。

「私は、国を守るために、何でもする覚悟です。」

それがどんな痛みを伴おうとも、私は決して後悔しない。

「リュウス。」

私は、幼い頃から私を支えてくれているリュウスを呼び、しっかりと彼の目を見つめた。

彼も私の決意に気づき、顔を引き締めて返事をする。

「リュウスを共に連れて行きます。」

その覚悟に、兄・アルトリアスも無言で頷いた。

彼は私の決断を理解し、もう何も言わないが、目には深い思いが込められていた。

「無理だけはしないでくれ。」

兄の声はかすれ、私の手を強く握りしめる。

愛情と心配が交じり合ったその言葉に、私の胸が締めつけられる。

「はい。」

私は答えたが、その声は少し震えていた。

戦の運命を受け入れる覚悟を持ちながらも、心のどこかで怖さがひそかに広がっていた。

「ダメだとわかったら、直ぐに帰って来るんだ。」
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