絆の光は未来へ

「……わかってる……」

あゆかの声は、酸素マスク越しでさらにか細く、しかし、はっきりと聞こえた。

「わかってるよ……光希が、私のために、どれだけ頑張ってくれたか……。わかってる……。なのに、私……」

あゆかは、泣きながら、光希の左手薬指の指輪と同じデザインの薬指の指輪をそっと撫でた。後悔と、自責の念、そして光希への深い感謝と愛情が、彼女の心を支配していた。

蓮は、あゆかの様子を見守りながら、そっとベッドサイドの机に目をやった。そこに置いてあったのは、光希が持ってきた、あゆかの古びたスケッチブックだった。

蓮はそれを手に取り、何も言わずに、あゆかの震える手の上に静かに置いた。スケッチブックには、あゆかの気持ちと小ちょっとした絵が、今も鮮やかに残っている。

蓮はそれ以上何も言わず、あゆかの手をそっと握ると、立ち上がり、静かに病室を後にした。

あゆかの手には、光希の想いが詰まった指輪と、彼女自身の夢が詰まったスケッチブックが置かれていた。
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