絆の光は未来へ
なのに、今の自分は……。
震える指先。思うように動かせない身体。感情のコントロールもままならない、不安定な精神。看護師になるという夢は、あまりにも遠く、手の届かない場所にあるように思えた。
「こんな……こんな私じゃ……」
喉の奥から、嗚咽が込み上げてくる。絵に描かれた理想の看護師像と、現実の自分の間のあまりにも大きな隔たりに、再び絶望が押し寄せた。看護師になれないなら、自分には価値がないのではないか。そんな思いが、あゆかの心を支配しそうになる。
その時、あゆかの左手の薬指に、冷たい感触が触れた。光希がはめてくれた指輪。そして、その隣には、彼自身の指輪も見える。蓮の言葉が、耳の奥でこだました。
「あんたの病気の原因を、たった一人で探し当てたんだ」
「みんなが諦めかけても、あいつだけは、あんたを助けるって、ずっと言い続けてた」
そして、光希が泣きながら発した言葉。「もし、看護師の夢を教えなければ、あゆかはこんなに苦しむことはなかったんじゃないか」
光希は、私の夢を否定するどころか、私のために、自分自身を責めていた。自分が苦しんだのは、私のせいだと。

その事実に、あゆかの心に、一筋の温かい光が差し込んだ。
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