絆の光は未来へ
午前中のリハビリを終えると、疲労を感じるまでは、ベッドの上で参考書とタブレットに向かった。

「脳の解剖生理は、やっぱり難しいな……」

眉間にしわを寄せながら、タブレットの画面に指を走らせて図を拡大する。分からない専門用語があれば、すぐに光希からもらった付箋を貼り、後で聞くために印をつけていく。

彼女の字はまだ不安定で、かつてのような流麗さはない。ペンを握る右手は時折震え、線が歪むこともある。それでも、一文字一文字、懸命に書き写し、理解しようと努めた。

光希は、回診のたびに彼女の勉強の進捗を気にかけた。

「今日はどこまで進んだ?」

「神経系のところ、まだちょっと曖昧で……」

あゆかが質問すると、光希は忙しい合間を縫って、ホワイトボードを使って分かりやすく解説してくれた。

時折、蓮も顔を出し、
「おいおい、俺の出番がなくなるぞ」
と冗談を言いながら、一緒にあゆかの質問に答えることもあった。

彼らの温かいサポートが、あゆかの学習意欲をさらに掻き立てた。
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