絆の光は未来へ
そして、本格的な臨床実習が始まった。光希が事前に学校と調整してくれていた通り、あゆかの実習スケジュールは、通常よりも手厚いサポート体制が組まれていた。

体調に合わせた休憩時間の確保、担当指導者との密な連携、そして万が一の際には光希の病院がバックアップするという、きめ細やかな配慮がなされていた。

初めて患者の前に立った時、あゆかの心臓は高鳴った。しかし、優しく微笑みかける患者の顔を見て、彼女は思い出す。

「患者さんの不安な気持ちに、一番に気づける看護師になる」

その誓いを胸に、あゆかは一歩を踏み出した。バイタル測定、体位変換……一つ一つの手技は、まだ完璧ではないかもしれない。

しかし、彼女の言葉には、患者への深い共感が宿り、その瞳は、真摯な学びの光を放っていた。

光希は、実習が光希の病院の事もあり、廊下であゆかとすれ違うこともあった。実習着で、患者や同僚とテキパキとコミュニケーションを取るあゆかの姿は、かつて寝たきりだった彼女とはまるで別人だ。

その度に、光希の胸は温かい喜びに満たされた。

あゆかの看護師への道は、まだ始まったばかりだ。しかし、光希という心強い伴侶と、多くの人々の支えを得て、彼女は確かにその夢へと向かって歩み続けていた。
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