絆の光は未来へ

ホスト時代の記憶

婦人科外来の診察室で、俺は次の患者の電子カルテを開いていた。いつもと変わらない午後の診療時間。

しかし、「田中美智子」という名前を目にした瞬間、胸に鈍い痛みが走った。

3年前の記憶が一気に蘇る。薄暗いホストクラブの店内。きらびやかなドレスに身を包んだ女性客たち。そして、俺の隣に座って甘い香水の匂いを漂わせていた、あの女性。

「光(ひかる)くん、今夜は特別な時間にしましょう」

彼女の誘いを最初は断った。しかし、学費の請求書が机の上に山積みになっている現実。親に頼ることもできず、彼女が差し出す現金の束を見た時、俺の理性は崩れ落ちた。

ホテルの一室。薄いカーテン越しに差し込む街の明かり。彼女の体温と、行為の後に手渡される札束の感触。

金のために体を売る自分への嫌悪感と、それでも止められない現実。

「これで来月の学費は大丈夫ね」

彼女はそう言って微笑んだが、俺には屈辱としか感じられなかった。

それが何度か続いた後、彼女は突然行方を消した。
店に残ったのは百万円という巨額の未払い金。そして店長からの言葉。

「お前の客なんだから、お前が責任を取れ」

結局、俺がその全額を肩代わりすることになった。
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