絆の光は未来へ
病院の待合室で自分の番が来るのを待つ間も、あゆかの頭の中は、これから始まる診察のことと、放課後の友人たちとの約束とでいっぱいだった。早くこの診察を終えて、いつもの日常に戻りたい。そんな思いが、彼女の心を占めていた。

そして、ついにその声が聞こえた。
「佐々川あゆかさん、どうぞ。」
自分の名前が呼ばれ診察室のドアを開けた。

その向こうに、あゆかの主治医の工藤光希の姿が見えた。早く済ませてしまいたい。そう思いながら、あゆかは重い体を動かし、診察室へと足を踏み入れた。

光希の声は、いつものように穏やかで、しかし確かな医師としての響きを持っていた。あゆかは、ぎゅっと握りしめた手のひらの汗を感じながら、診察室のドアから中へ入った。室内に充満する消毒液の僅かな匂いが、緊張をさらに高める。

あゆかが右に視線をやると、もう一つのドアが見えた。内診室へと続くそのドアは、今は静かに閉まっている。多少の機械音や雑音があるものの、この診察室は外界から切り離された、密やかな空間だった。
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