絆の光は未来へ

心に灯る小さな光

光希の「汚れてない」という言葉は、あゆかの凍り付いた心に、わずかながらも温かい光を灯しました。

その日以来、あゆかが突発的に浴室に駆け込むことは少なくなりましたが、彼に触れられることへの恐怖は簡単には消えませんでした。

光希は焦ることなく、毎日根気強く、しかし決して無理強いすることなく、彼女に寄り添い続けました。 

彼は、あゆかの目の前で自分自身の手を丁寧に洗い、消毒する姿を見せたり、清潔なタオルや寝具を頻繁に交換したりすることで、少しずつ「清潔」と「安全」の感覚を取り戻させようとしました。

あゆかが眠っている間にそっと体を清め、柔らかいパジャマに着替えさせることもありました。

最初は怯えていた彼女も、光希の決して変わらない優しさと献身に、次第にわずかな安心感を抱くようになっていきます。

光希は、あゆかが好きだった花の香りのする石鹸や、肌触りの良いタオルを選んで使うようになりました。

彼女が目を覚ましたとき、ふと香る優しい匂いが、彼女の心を少しでも和らげることができるようにと願いながら。

また、部屋の温度や湿度にも細心の注意を払い、あゆかが少しでも快適に過ごせる環境を整えることに心を砕きました。
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