絆の光は未来へ
一ノ瀬も、光希の負担を軽減するため、そしてあゆかの心のケアのために、頻繁に彼らの家を訪れました。

直接あゆかの体に触れることは避けて、彼女が好きな音楽を流したり、静かに本を読んだり、ただ隣で時間を共有したりする中で、少しずつ心の距離を縮めていきました。

彼の存在は、光希にとっても大きな支えでした。

一ノ瀬は、あゆかが以前好きだったクラシック音楽や、優しいメロディーの楽曲を調べ上げ、静かに部屋に響かせました。

時には、窓際に座って外の景色を眺めながら、季節の移ろいや小さな出来事について、独り言のように語りかけることもありました。

あゆかが反応を示さなくても、彼は決して諦めることなく、彼女の心に届くことを信じて声をかけ続けました。

光希が病院での激務に疲れ果てて帰宅したとき、一ノ瀬は黙って彼の肩に手を置き、無言の励ましを送りました。

二人の男性の間には、言葉を交わさなくても通じ合う深い絆がありました。あゆかを守り、癒したいという共通の願いが、彼らを結び付けていたのです。
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