絆の光は未来へ
一ノ瀬は静かに続けた。

「俺は、お前の医者としての腕も、人間としての強さも知っている。だが、時には誰かを頼ることも必要だ。俺はここにいる。お前とあゆかちゃんのために、いつでも力になる。お前という友の傍で、共に命と向き合っていきたいと思ったからだ。」

一ノ瀬は静かに立ち上がり、救急箱を取ってきた。

「今度からは、こうなる前に俺に連絡しろ。夜中でも構わない。お前が倒れたら、あゆかちゃんはどうなる?お前の過去も、現在の苦悩も、一人で背負う必要はない。
あと、自分の傷だからって適当に処置するな。」

彼は俺の手首を丁寧に処置しながら言った。

「過去は変えられない。でも、その経験が今のお前を作っている。お前が経験した屈辱や苦痛が、今、あゆかちゃんの痛みを理解する力になっているんだ。それは決して無駄じゃない。」

一ノ瀬の言葉に、俺は深く頷いた。彼が隣にいることの心強さを、そして彼もまた同じ道を歩んだことがあるという事実に、改めて運命的なものを感じた。

「蓮...お前がそんな過去を持っていたとは。でも、お前は賢かった。早めに見切りをつけて、別の道を選んだ。俺は...」
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