絆の光は未来へ

秘められた予感

実は、光希があゆかの体調の変化に本格的に気づく数日前から、あゆかは自分自身の体の異変に、誰よりも早く気づいていた。

看護師として働き始めてから、女性の体のリズムについても敏感になっていた。生理が遅れていること、朝の吐き気、匂いに敏感になったこと。横になる時間が増え、倦怠感に襲われるたびに、彼女の脳裏には、ある可能性がちらついていた。

それは、喜びと、同時にあの悪夢のような日の記憶が呼び起こされるかもしれないという、言い知れない不安を伴うものだった。

数日前の休日、光希が病院で当直をしている間に、あゆかはそっとコートを羽織り、出掛けた。

以前のような人混みへの恐怖はほとんど薄れていたが、それでも緊張で胸が締め付けられるような感覚があった。

自宅に戻ると、あゆかは浴室の扉を静かに閉め、震える手で妊娠検査薬の箱を開けた。指示通りに使用してみると、数分後、そのスティックには、はっきりと二本の線が浮かび上がった。

あゆかは、その検査薬をじっと見つめた。そこにあるのは、確かな命の兆候。新しい生命が自分の中に宿っているという現実。最初に感じたのは純粋な驚きだった。

産婦人科系の持病はまだ完治していた訳ではないし、妊娠すること自体が難しいと分かっていたから、尚更であった。
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