絆の光は未来へ
夜中、光希が隣で安らかに眠る横で、あゆかは一人で涙を流していた。愛する夫との子供を身籠った喜びと、再燃した心の傷が、彼女を引き裂いていた。

「光希には...まだ言えない。」

看護師として患者さんと接する時でさえ、その記憶が突然よみがえることがあった。特に、同じような被害を受けた女性患者のケアをする時は、心が締め付けられるような思いだった。

妊娠の喜びを素直に表現できない自分に、あゆかは罪悪感を感じていた。光希は過去に赤ちゃんの話をし、将来の計画を楽しそうに語っていた。

この新しい命が、あゆかの中で複雑に絡み合った。光希にどう伝えればいいのか…光希は手放しで喜んでくれるだろう。

そんな以前の光希の姿を思い出した、自分だけが重い秘密を抱えているような孤独感に苛まれた。

妊娠2ヶ月後半に入った週末の夜、あゆかはついに決心した。

ある夜、つわりがひどくて眠れずにいたあゆかを、光希が心配そうに見守っていた。

「あゆか、本当に大丈夫か?何か他に心配事があるなら、何でも話してほしい」

あゆかは光希の真摯な眼差しを見つめた。
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