絆の光は未来へ
「早く会いたいな」

その夜、二人は胎動を感じるたびに顔を見合わせて微笑んだ。赤ちゃん用品のカタログを見る時間も、より具体的で現実的なものになった。

「この調子なら順調に成長してくれそうだな」

光希の声も少し震えていた。医師として数多くの妊婦を診てきたが、我が子の胎動は格別だった。

「この子に聴診器を当ててみたくなる」

「まだ早くない?心音は機械の方が正確でしょ?」

そう答えながらも優しくお腹を撫でた。

その夜、二人は胎動を感じるたびに、医学的な知識と親としての感情が入り混じった複雑な気持ちを共有した。

専門知識があるからこそ、赤ちゃんの状態をより正確に把握でき、同時により深い感動を味わうことができた。

この小さな動きが、二人を確実に「もうすぐ両親になる」という実感へと導いていく。

あゆかは眠りにつく前、お腹に手を当てながら思った。

この子との出会いまで、あと数ヶ月。その日が来るのが、心から楽しみだった。

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