絆の光は未来へ

医師として…可能性への切なる願い

光希は深く息を吐き、感情を押し殺すように視線を電子カルテの画面に戻した。彼の瞳はまだ震えていたが、そこには医療者としての鋭さが宿り始めていた。

「既往歴から考えても、病状の進行が早い。抗生剤の種類と投与量は?培養結果はいつ出る予定ですか?DICのコントロールは、現在どのようなアプローチで?」

彼の口から飛び出したのは、冷静で的確な質問だった。感情のままでは、あゆかを救えない。そのことを、彼は痛いほど知っていた。

高橋医師と蓮は、光希の質問に滞りなく答えていく。光希は、時に頷き、時に眉間に皺を寄せながら、提示される全ての情報を貪るように吸収していった。

彼の頭の中では、刻一刻と、あゆかの身体で何が起きているのかが整理されていく。

一通りの説明と質疑応答が終わると、カンファレンススペースに重い沈黙が訪れた。光希は再び、あゆかが横たわるベッドの方へ視線を向けた。彼女の元へ行きたい。その衝動が再び胸を突き上げる。

「……あゆかの、そばに……いても、いいか?」

光希の声は、先ほどの医師としての口調とは打って変わって、幼子のようにか細かった。

その目は、蓮と高橋医師に、助けを求めるように向けられる。蓮は、光希の表情を見て、静かに頷いた。ICU担当医も、その状況を察し、許可を与えた。
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