絆の光は未来へ
光希は、再びあゆかのベッドへとゆっくりと歩み寄った。彼女の傍らに立ち、機械に囲まれた小さな顔を見下ろす。規則的な人工呼吸器の音だけが響く静寂の中、光希はそっと、あゆかの手を握った。

冷たい、と思っていた手のひらは、わずかに温かかった。点滴のラインが何本も走っているが、それでも、この感触だけが、あゆかが確かにここに存在していることを光希に教えてくれた。

(あゆか……)

握った手のひらから、幼い頃の記憶が蘇る。

幼稚園の帰り道、転んで泣きじゃくるあゆかを、泥だらけの手で優しく引き起こした。あの頃、どんなに小さな怪我でも、あゆかは光希の手を強く握りしめていた。

小学校の保護者競技、親代わりの光希と二人三脚でゴールを目指した時、光希の手にしがみつくように、あゆかの手が汗ばんでいた。

中学校の卒業式、進路で悩んでいたあゆかが、決意を胸に光希の手に触れてきた。

いつも、あゆかの手は、光希の傍にあった。暖かく、柔らかく、そして時として、強い意志を伝えてきた。


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