絆の光は未来へ
それが今、こんなにも細く、冷たくなっている。チューブに繋がれ、自らの力で動くこともできない。

「ごめん……ごめん、あゆか……」

光希の喉から、掠れた声が漏れた。なぜ、もっと早く気づいてやれなかったのか。なぜ、彼女の無理に、もっと踏み込んでやれなかったのか。

出張を言い訳に、目の前の異変から目を背けていたのではないか。医師として、幼馴染として、自分は彼女を救えなかった。

握りしめたあゆかの手に、光希の熱い涙がぽたりと落ちた。彼の心は、後悔と絶望、そして、それでも何とかして彼女を救いたいという切なる願いで満たされていた。

蓮が、光希の隣に静かに歩み寄ってきた。

「お前も、長旅で疲れているだろう。少し休んだらどうだ?」

蓮の声は、光希への配慮が感じられた。光希は、あゆかの手を握ったまま、首を横に振った。

「いや……ここにいる。あゆかのそばに」
光希の視線は、決してあゆかの顔から離れなかった。蓮は、その瞳の奥に宿る揺るぎない決意を見て取った。

幼い頃から、どんな困難に直面しても、決して諦めない光希の強さを知っている。しかし、今回は、その強さが悲痛なまでに研ぎ澄まされているように見えた。

「そうか……。何かあったら、すぐに呼んでくれ。俺も、近くにいる」

蓮はそう言い残し、ICU担当医と共に、再び他の患者の状況確認へと戻っていった。
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