絆の光は未来へ
光希は、疲れた目を蓮に向け、重い口を開いた。

「ああ。一晩中、あゆかのそばにいた。それからそのまま外来だ。昼休憩に少しでも食べようと栄養ゼリーを口にしたが、胃が受け付けない……すぐに吐いた。そもそも、食欲なんて湧くはずがない。死なないために、無理やり口に押し込んだだけだ」

その言葉を聞いた蓮は、眉をひそめた。光希のその尋常ではない憔悴ぶりに、胸が締め付けられる思いだった。

蓮は何も言わず、そのまま医局を出て行った。数分後、戻ってきた彼の手に握られていたのは、エンシュア缶だった。高カロリー栄養剤。

「これを飲め、光希」

蓮はそれを光希に差し出した。

「点滴もする、断ったらあゆかの側には俺が居る。それが嫌なら受け入れろ。処方箋は書いてやるから。いいから、少し体に入れろ。お前まで倒れたら、誰があゆかを支えるんだ」

蓮の言葉は、普段の彼からは想像できないほど強く、光希の心に響いた。彼の目は、心配と、そして親友への叱咤が混じり合っていた。光希は、黙ってエンシュア缶を受け取った。

光希は、蓮の言葉にこみ上げるものを抑えきれなかった。缶の蓋を開け、震える手で差し込み、口に含んだ。甘く、しかし無機質な味が口の中に広がる。
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