絆の光は未来へ
ICUで光希はあゆかの手を握り続けた。両親と蓮が去った後も、彼の意識はすべてあゆかに集中していた。

モニターに表示される数値、わずかな呼吸の変化、そのすべてが光希の五感を支配する。彼女の細い指が、時折ピクリと動くたび、彼の心臓は激しく高鳴った。

「あゆか……」

光希の唇から、か細い声が漏れる。それは、誰に聞かせるでもなく、ただあゆかに届けたいと願う、切実な響きを持っていた。

「俺は、お前を必ず救う。どんなことがあっても、お前を一人にはしない。俺が、お前の家族だ……お前の、居場所だ」

力強く、しかし震える声で、光希は誓った。産婦人科医としての道を歩む決意。それは、あゆかのために選んだ道であり、これから出会うであろう多くの女性を救うための道でもあった。

あゆかの穏やかな寝顔を見つめながら、光希は過去を思い出していた。幼い頃、怪我をしても我慢するあゆか。看護師になりたいと、目を輝かせながら語っていた彼女。その夢が、こんな形で途絶えてしまうことなど、光希には到底受け入れられなかった。

時間だけが、静かに流れていく。ICUの白い空間は、光希にとって、希望と絶望が入り混じる、残酷なまでの現実だった。

しかし、彼の心は決して折れてはいなかった。この場所で、彼に残された唯一の希望は、あゆかの生命そのものだったからだ。
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