絆の光は未来へ
「工藤先生、本当に休んでいらっしゃるんですか?顔色が……」

主任看護師が心配そうに声をかける。
「大丈夫です。それよりも、今日のあゆかの状態は?」

光希は、疲労を悟られまいと、努めて冷静に尋ねた。主任看護師は、光希の医師としてのプロ意識を感じ取り、手元のカルテに目を落とした。

「昨夜と大きく変わりありません。意識レベルは依然として低いままですが、バイタルは安定しています。しかし、臓器不全の進行が懸念されます。今朝の血液検査の結果で、腎機能と肝機能の数値が悪化傾向にあります」

主任看護師の言葉に、光希の顔がさらにこわばる。
安定しているとはいえ、体の中で進行している変化。それが、あゆかの生命を脅かしているのだ。

「分かりました」

光希が看護師へ力無く返答した、そこにICUの担当医の高橋医師が来た。

「今日、改めて詳しく診察します。引き続き、詳細な経過観察と、新しい検査項目を検討してください。」

光希は、心の中で焦りを募らせていた。原因が特定できなければ、根本的な治療はできない。このままでは、あゆかの容態は悪化の一途を辿るだろう。

彼は再び、あゆかの手を握った。その小さな手に、自らの想いを込めるかのように、そっと。隣のサイドテーブルには、彼が持ってきたスケッチブックが置かれていた。

「待っていろ、あゆか。必ず、君を救ってみせる」

彼の瞳は、あゆかの未来への願いを込めて、暗闇の中でも決して消えることのない、強い光を放っていた。
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