絆の光は未来へ
光希が差し出した論文を受け取ったICUの高橋は、訝しげな表情でタイトルに目を落とした。だが、読み進めるうちに、その眉間の皺は次第に消え、真剣な眼差しに変わっていく。

「これは……確かに、症状が一致する点が多いな。特にこの、特定のウイルス感染後の発症と、非典型的な臓器不全という記述は、佐々川さんの経過と合致する」

高橋は、さらに数ページを読み込み、顔を上げその表情には、確かな驚きと、かすかな期待が混じっていた。

「工藤先生、よく見つけましたね。この疾患は非常に稀で、診断が困難です。まだ確定ではありませんが、これは大きなヒントになります」

光希の顔に、わずかな安堵の色が浮かんだ。彼の徹夜が、無駄ではなかった。

「すぐに、この疾患に詳しい専門医と連携を取り、追加の検査を進めましょう。診断が確定すれば、新たな治療方針を立てることができます」

担当医の言葉に、光希の胸に温かいものが込み上げてきた。これまで闇の中を手探りで進んでいた道に、ようやく一筋の光が差し込んだような気がした。

「ありがとうございます……!必ず、あゆかを助けます!」

光希の声は、震えていたが、その瞳は希望に満ちていた。
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