婚約破棄されましたが、聖女様ごとまとめてざまぁさせていただきます ~平凡令嬢、イケメン魔導師に拾われ溺愛される~

第1部 婚約破棄の夜

私は、王太子ルディエル様との結婚を、ずっと夢見ていた。

学舎でご一緒だった頃、ルディエル様は誰よりも聡明で、誰よりも美しかった。

近づくことさえ恐れ多くて、遠くから見つめることしかできなかったけれど……

それでも私は、毎日、ルディエル様のことばかり考えていた。

「……ああ、ルディエル様」

気づけばため息をついていて、そんな私を見かねた父が、ダメ元で婚約を申し入れたのだという。

まさか、本当に許されるなんて思ってもいなかった。

でも、決まったのだ。

奇跡のように、私とルディエル様の婚約が。

「夢じゃないのよね……?」

何度もそう呟いては、胸の前で手を握りしめた。

あの方と結婚できる――私は、結婚式の日を指折り数えながら、幸せの絶頂にいた。
< 1 / 16 >

この作品をシェア

pagetop