婚約破棄されましたが、聖女様ごとまとめてざまぁさせていただきます ~平凡令嬢、イケメン魔導師に拾われ溺愛される~
その日は、ルディエル様主催の舞踏会だった。

私は、彼の婚約者として、最高に美しくあらねばと、髪を整え、ドレスを選び、香水まで迷いに迷って身にまとう。

鏡の前で何度も笑顔を練習して、胸を高鳴らせながら会場へと向かった。

「ノエルナ。」

「ルディエル様!」

そのお声を聞いた瞬間、胸がきゅっと締めつけられる。

前日もダンスの練習でご一緒したばかりなのに、またこうしてお顔を見られるだけで、嬉しくて仕方がなかった。

ああ、今日も本当にお美しい……。

王族としての威厳と、柔らかな微笑み、そのすべてが私の理想。

「ノエルナ、今日は申し訳ないんだが」

「はい?」

「ダンスは踊れない」

え……? 一瞬、意味が分からなかった。

ルディエル様と初めて、人前で正式に踊るはずだったのに。

それが、どうして……?
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