五妃伝 ~玉座に咲く愛~
玄曜は、ひとりの家臣を呼び出した。
楊家の当主にして、正妃・瑶華の父――宮廷随一の名門に生まれ、朝政にも大きな影響力を持つ男だ。
「妃は、どうやって選ばれる?」
玄曜の問いに、楊家当主は静かに頷いた。
「三年に一度の後宮召し上げのことですか?」
「ああ。」
「美貌と人柄。それに、王家にふさわしい振る舞いが備わっていれば、妃に迎えられます。」
「……身分は問わぬのか?」
一瞬の沈黙があった。だが、すぐに淡々とした声が返る。
「身分を問うのは“四賢妃”のみでしょう。妃の数は多くとも、皇后を補佐する貴妃・徳妃・淑妃・賢妃に選ばれるには、血筋と格式が求められます。」
つまり――
どれほど美しく、心優しくとも、名もなき市井の娘に与えられる地位は“側妃”どまり。
後宮に存在はできても、中心には立てない。
楊家の当主にして、正妃・瑶華の父――宮廷随一の名門に生まれ、朝政にも大きな影響力を持つ男だ。
「妃は、どうやって選ばれる?」
玄曜の問いに、楊家当主は静かに頷いた。
「三年に一度の後宮召し上げのことですか?」
「ああ。」
「美貌と人柄。それに、王家にふさわしい振る舞いが備わっていれば、妃に迎えられます。」
「……身分は問わぬのか?」
一瞬の沈黙があった。だが、すぐに淡々とした声が返る。
「身分を問うのは“四賢妃”のみでしょう。妃の数は多くとも、皇后を補佐する貴妃・徳妃・淑妃・賢妃に選ばれるには、血筋と格式が求められます。」
つまり――
どれほど美しく、心優しくとも、名もなき市井の娘に与えられる地位は“側妃”どまり。
後宮に存在はできても、中心には立てない。