五妃伝 ~玉座に咲く愛~
(……何を言っているのだ、朕は。)

まだ、彼女は妃ですらない。

言葉を交わしたのも、あの日ただ一度きり。

それなのに、すでに未来の姿を思い描いてしまっている。

あの穏やかな声で名を呼ばれ、子を抱く姿を想像してしまっている。

(朕は、あの娘との子供が欲しいと……心から願っているのか?)

その事実が、逆に玄曜の心を乱した。

皇帝である自分が、感情に振り回されている――

それが、恐ろしくもあり、抗いがたくもあった。

しかし、ひとつだけは確かだった。

悠蘭を守るためには、彼女を“四賢妃”にまで引き上げなければならない。

それができるのは、他でもない、この国の皇帝である自分だけだ。

「妃に迎える手段は、何も召し上げだけとは限りません。」
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