五妃伝 ~玉座に咲く愛~
静まり返る空気。

悠蘭の瞳が大きく見開かれる。

「……え?」

彼女の視線が、対面に座る男――玄曜へ向けられる。

「この人の……妃に?」

戸惑いと混乱。

だが、それよりも強く、悠蘭は玄曜の真っ直ぐな瞳に引き込まれていた。

一言も発していない彼が、ただまっすぐに自分を見つめている。

「おかしいでしょ。なんで“妻”じゃなくて“妃”なのさ。」

悠蘭は眉をひそめ、声を荒げた。

どこか怒っているようでもあり、突き放すようでもあった。

楊家が堂々とした口調で答える。

「この方はな……」

「どうせ、名家の坊ちゃまなんでしょ。」

悠蘭は顔を背けた。

口元に皮肉な笑みを浮かべながら、続ける。

「そんな坊ちゃんの“愛人”になるなんて、私はごめんこうむりたい。」
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