五妃伝 ~玉座に咲く愛~
この目の奥にあるものを、知りたいと、強く思った。

「明日、楊家に来てくれ。」

「えぇっ? あの、楊家って……お金持ちの、あの?」

悠蘭の顔が驚きに染まる。

無理もない。市井の人間にとって、“楊家”は雲の上の存在だった。

「そうだ。……君に恥をかかせるようなことはしない。」

玄曜のその一言に、悠蘭はしばらく黙っていたが――

やがて、こくりと頷いた。

翌日、正午少し前。

本当に悠蘭は楊家の邸を訪れた。

その報せを聞いたとき、玄曜の胸は静かに高鳴った。

表には出さないが、胸の内には明らかな喜びが渦巻いていた。

「こちらへ。」

楊家の女官が丁寧に案内する。

市井の娘でありながら、悠蘭は“客人”として丁重に扱われた。

やがて、悠蘭と玄曜は庭園の一角――白木蓮が咲く静かな場所へと通された。

そこには煎れたばかりの茶が用意され、そよ風が枝を揺らしていた。
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