五妃伝 ~玉座に咲く愛~
その言葉と同時に、玄曜は悠蘭の腕を強く引き寄せた。

戸惑いの色が広がる彼女の瞳。

だがその瞳すらも、彼にとっては愛おしかった。

「悠蘭……君が欲しい。」

低く、震えるような声が、彼女の耳元に落ちる。

「君を妃にしたい。君を放したくない。君を――愛したい。」

一語一語が、悠蘭の胸を深く震わせた。

市井の娘として育ってきた彼女にとって、それはあまりにも突然で、あまりにも現実離れしていて。

「……どうして、私なんか……」

小さく絞るような問いに、玄曜は迷わず答えた。

「運命だからだよ。」

まるで未来を言い当てるように。

そう言って、彼は悠蘭の顔をそっと両手で包み――

その額に、唇を落とした。

あたたかく、優しく、けれど確かな情熱を込めて。

悠蘭は何も言えなかった。

言葉にならない感情が、全身を包み込んでいた。

抗えない何かが、自分の中に芽生えようとしているのを、確かに感じていた。
< 28 / 82 >

この作品をシェア

pagetop