五妃伝 ～玉座に咲く愛～

「……ああ。」

そう答えると、男はうんうんと頷いた。

「ここはすごいぞ。当たるんだ。商売も恋も、みんな見抜かれる。俺も去年、あの娘と結ばれるって言われてな、本当に結婚できたんだ。」

周囲に並ぶ人々も、口々に同じように語る。

どうやらただの迷信ではなく、占い師自身への信頼が根付いているようだった。

玄曜は、静かに前を見つめた。

人々の声が、心の奥に染み込んでくるようだった。

一時間が過ぎ、ようやく玄曜の番が来た。

列を離れ、小さな帳の中へ足を踏み入れる。

卓の向こうにいたのは、白い衣をまとい、整った黒髪を下ろした少女だった。

「何を見ますか？」

落ち着いた声に導かれ、玄曜は静かに椅子に腰を下ろした。

そして顔を上げた、その瞬間だった。