五妃伝 ~玉座に咲く愛~
その静かな午後、庭を眺めていた玉蓮のもとに、ふと人の気配がした。

振り返れば、そこに立っていたのは、変わらぬ風格と優しい眼差しを携えた皇帝――蒼玄曜だった。

「……ああ、旦那様。」

玉蓮は自然にそう呼びかけていた。

その言葉に、玄曜は微かに目を細めて微笑んだ。

「久しいな。玉蓮。」

「はい。お元気そうで、何よりです。」

二人の間に、特別な沈黙が流れた。

長い月日を経ても、通い合う心は変わらない。

やがて、玄曜がゆっくりと口を開いた。

「この度、後宮に四賢妃を置くことにした。」

玉蓮は、その言葉に一瞬だけ目を瞬かせた。

だが、驚いた様子はなかった。

むしろ、どこか達観したように、うなずいた。

「そうですか。それは……ようやく、なのですね。」

玄曜はうなずく。

その眼差しには、何かを決めた男の確固たる決意が宿っていた。
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