五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「玉蓮、君にその内の一つ……貴妃を任せたい。」

その言葉に、蘇玉蓮ははっと目を見開いた。

「貴妃……」

 貴妃。それは四賢妃の中でも最も位が高く、もし皇后に何かあった時は、後宮の総責任者として代行も務める、極めて重要な立場だった。

単なる寵愛ではなく、皇帝の信頼と、後宮全体を見渡す力量が求められる。

「私に、貴妃を……」

玉蓮は、しばし言葉を失った。胸の奥がざわめく。誇らしさでもなく、嬉しさでもない。何かが、引っかかっていた。

「その……新しく迎えられた、若い妃にお任せすればいいのでは?」

それは、自分を妃に迎える前に惹かれていたという、あの市井の少女――悠蘭のことだろう。

玉蓮はそう察していた。

賢妃として迎えられたとも噂に聞いた。

ならば、貴妃も彼女にふさわしいのではと、思わず口にした。

だが、玄曜は首を振った。
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