五妃伝 ~玉座に咲く愛~
四賢妃――それは皇后に次ぐ後宮の中核を成す、貴妃・徳妃・淑妃・賢妃の四つの座である。

容姿、品位、才知、そして帝の信任。

すべてにおいて選ばれし妃たちに与えられる称号だった。

数多の妃たちが後宮に在る中、四賢妃を定めることは、ただの儀礼ではない。

それは、後宮の秩序を保ち、時には政治的な均衡すら左右する重き決定だった。

本来、その選定は皇帝の務めであり、信頼と情愛の象徴でもある。

だが、玄曜は未だに決めかねていた。

即位から五年。まだ二十代後半の若き皇帝には、四人の妃は与えられていたが――

その中から誰を選ぶかは、心を決めかねていたのだ。

なにしろ、後宮には三年に一度、新たな妃が各地の名門より献上される。

政の一環として妃を迎えるたびに、心は揺れ、判断は曖昧になる。

「決める」ことは、時に「切り捨てる」ことでもあるからだ。
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