五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「香風に、心奪われましたか?」

李将軍は、柔らかい笑みを浮かべながら問いかけてきた。

まるで、“私の見立てに間違いはなかっただろう?”と、自信に満ちた誇らしげな声音だった。

玄曜は、その言葉に返すことなく、ただ静かに昨夜の記憶を呼び起こしていた。

灯りの落ちた寝所。震えながらも身を任せてくる香風の姿。

拒まぬが、心を開いているわけでもないその佇まい――。

「いや……」玄曜はぽつりと呟いた。

李将軍の眉がわずかに動く。

「そうでしたか。香風でも満足しませんか。」

少し失望を含んだような、しかし諦めきれない様子。

その時、玄曜は壺をそっと机に戻した。

静かな音が、部屋に響く。

「彼女には……満足している。」

玄曜ははっきりと答えた。

「今夜も召したいくらいだ。」

その言葉に、李将軍はようやく頷いた。
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