五妃伝 ~玉座に咲く愛~
それは、香風を貶めるようでありながら、誇るような響きだった。

玄曜は目を細め、手にしていた白磁の壺を音を立てずに置いた。

「だったら、朕が――妃に収める。」

その静かな一言に、李将軍の顔がこわばった。

「お止めなさい、陛下。」

その声には焦りが滲んでいた。

「他の男の慰み者となった女を、皇帝の妃とすれば……他国の笑い物になります。中には“玄曜は使い古された女に心を奪われた”と、せせら笑う者も出てくるでしょう。」

玄曜はゆっくりと立ち上がった。

その背中は、どこまでも揺るぎなく、威厳に満ちていた。

「笑いたければ笑わせておけ。」

李将軍は息を呑んだ。

それは、帝としてではなく、男としての宣言だった。
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