五妃伝 ~玉座に咲く愛~
その夜も、玄曜は香風を召した。

「今夜もお渡り頂き……」

そう言いかけた香風に、玄曜は静かに口を挟んだ。

「そんな言葉は、言わなくてもいい。」

香風はうつむきながら、どこか心を遠くに置いているような目をしていた。

玄曜はしばらく彼女を見つめ、ぽつりと尋ねた。

「他の男に、仕込まれたのか?」

香風はその言葉に、驚いて顔を上げた。

「えっ?」

「戦利品になるのは、初めてではないのだろう。」

香風は答えず、そっと寝台に背を向けた。

その細くしなやかな背中が、まるで過去を語っているようだった。

玄曜は黙ってその背中に手を伸ばし、そっと抱きしめる。

香風の体が小さく震えた。

「君が欲しい。」

玄曜は、心から願った。

「ただ、君が欲しくてたまらない。」

香風は目を伏せたまま、静かに言った。
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