五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「隣国より参りました、韓 香風と申します。」
その一言だけで、場の空気が変わった。
張り詰めた沈黙の中、澄んだ声が後宮の一角に響いた。
所作のすべてが洗練され、まるで宮廷育ちの姫そのもの。
皇后・楊瑶華でさえ、戸惑いを隠せなかった。
「……皇后の、楊 瑶華です。」
自らの名を名乗るのがやっとだった。
だが、立場は譲れない。
「お茶でもどうぞ。」
そう促す声は自然と張っていた。
出されたのは、天蒼国でも選りすぐりの最高級茶葉。
香風は静かに礼をして、茶器を両手で受け取る。
その所作の一つ一つが、まるで舞のように美しい。
「ありがたく、頂戴いたします。」
わずかに笑んだその横顔に、瑶華は自分でも理由のわからぬ感情を覚えた。
――この女、侮れない。品位だけで言えば、自分よりも……。
それでも、皇后としての威厳は失えない。
背筋を伸ばした瑶華の胸に、確かな警鐘が鳴り始めていた。
その一言だけで、場の空気が変わった。
張り詰めた沈黙の中、澄んだ声が後宮の一角に響いた。
所作のすべてが洗練され、まるで宮廷育ちの姫そのもの。
皇后・楊瑶華でさえ、戸惑いを隠せなかった。
「……皇后の、楊 瑶華です。」
自らの名を名乗るのがやっとだった。
だが、立場は譲れない。
「お茶でもどうぞ。」
そう促す声は自然と張っていた。
出されたのは、天蒼国でも選りすぐりの最高級茶葉。
香風は静かに礼をして、茶器を両手で受け取る。
その所作の一つ一つが、まるで舞のように美しい。
「ありがたく、頂戴いたします。」
わずかに笑んだその横顔に、瑶華は自分でも理由のわからぬ感情を覚えた。
――この女、侮れない。品位だけで言えば、自分よりも……。
それでも、皇后としての威厳は失えない。
背筋を伸ばした瑶華の胸に、確かな警鐘が鳴り始めていた。


