彼が甘いエールをくれたから
「えっと……そうだ、進捗状況を確認してる途中だったよな」

 モニターを見つめる彼の横顔が、ほんのり赤みを帯びている気がする。

「……筧くん?」
「ああ、もう。多治見のせいだ。人って、図星を指されると調子が狂うよな」
「え?」

 どういう意味なのかと聞き返してみたけれど、筧くんは答えずに、仕事の分担について話し始めた。
 真剣な表情で的確に進めていく姿がカッコよくて、気を張っていないと、ぼうっと見惚れそうになる。

「よし、この割り振りでいこう」
「筧くんの負担がすごく増えちゃったね。ごめん」
「だから、忽那が謝る必要はないんだよ。加山さんのことだって、カンピロバクターは要するに〝食中毒〟だ。忽那のせいじゃないだろう」

 彼の言うとおり。細菌性腸炎は食べ物が原因で起こる病気だ。
 昨日、加山さんに体調を聞こうと電話をしたら、具合が悪くなる前に食べた夕飯の鶏肉に火が通りきっていなかったのかもしれないと彼女も言っていた。

「誰かが体調不良になったら、全員でカバーすればいい。それで忽那を頼りないなんて誰も思わないよ」
「うん。ありがとう」

 彼がキラキラとしたオーラをまといながら、にこりと微笑んだ。
 その笑顔がまぶしすぎて、自動的に胸がキュンとした。
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