彼が甘いエールをくれたから
 翌日からはチーム一丸となって仕事に取り組んだ。
 納期までに間に合わせなければいけないというプレッシャーからか、全員がきちんと同じ方向を向いている一体感がある。
 それぞれコミュニケーションも取れていて、忙しいながらも空気は悪くない。
 こんな経験は初めてだと言っていいくらい、仕事が楽しいと思えた。

 それは翌週も続き、ルミナの案件は山場を越え、皆でホッと安堵の息を吐いた。

『甘いもの補給して、もうひとがんばり。一緒に乗り切ろうな』

 お手洗いから戻ってくると、小さなチョコと共にメモが残されていた。
 ――送り主はきっと、筧くんだ。

 丸い形状のチョコの包み紙をそっと開けてみる。すると甘い香りのするトリュフチョコが出てきた。

「これって高級なやつだよね」

 思わずひとりごとが漏れる。彼のデスクへ視線を送ると、多治見くんと書類を見ながら話をしていた。
 心遣いがうれしくて、指でつまんでひと口に頬張った。
 口の中でとろけるチョコは濃厚で、上品な甘さで、いくらでも食べられそうなくらいおいしい。
 彼のおかげでエネルギーチャージは完了。これでまた集中してがんばれる。
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