彼が甘いエールをくれたから
「加山さん、大丈夫?」
「はい。本当にご迷惑とご心配をおかけして……」
「ううん。病気なんだから気にしないでね。元気に戻ってきてくれただけでいいの。回復してよかったよ」

 加山さんの向かいに立って彼女の両手を握ると、ホッとしたのかじわりと涙が滲んだ。
 ほかの同僚たちも彼女に声をかけ、それぞれ自分のデスクへ戻っていく。

「ルミナの案件、納期を早めなくちゃいけなくなってたなんて……」

 あらためて仕事の進捗を説明しようとしたら、加山さんが申し訳なさそうに眉尻を下げた。
 しっかりと療養してほしかったから、彼女に納期が短縮されたことは話していなかったのだ。
 たった今それを知った彼女は、業務がどれほど大変だったのか、容易に想像がついたらしい。

「もうほとんど終わってますね。知友里さんが代わりに全部やってくれたんですか?」

 悲愴感をただよわせる彼女に向けて、微笑みながらふるふると首を横に振った。

「最初はそうしようと思ってがんばったんだけどね。でも、さすがに無理だった。筧くんがみんなに仕事を割り振ってくれたの」
「そうだったんですか……」
「もっと頼っていいんだって言ってくれて、救われた」
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