日本—ヤマト—の女帝
今日もまた、部屋の外で誰かが働く音で目が覚める。
外は相変わらず寒い。足の指が焼けるように痛い。
「おはようございます。広女でございます」
「入りなさい。外は寒いわね」
広女はええ、と言いながら次々と身支度を済ませていく。
「ねえ、広女」
「はい、なんでしょうか」
「道真—どうじん—を呼んでくれないか」
——道真。
七年前、唐へ新たな技術を学びに行き、一年前に帰国した僧である。
彼は私に様々なことを教えてくれる。
——そう、私は道真に尋ねようと思うのだ。昨日の父との件を。