すべての花へそして君へ①

ハプニングには迅速な対応を


 それは、少し前のこと。彼らのいる部屋を出た彼は……?


「ふざけんな。殺す気かよ……」


 葵のかわいさに悶絶していました▼


「……なんなの、もおぉ……」


 実はさっさと出ていったのは、自分の方がいろいろ限界だったり……?


「きっつ……。あー、きっつ」


 ていうかずっと前からいろいろ限界だったせいで。


「……死にそう」


 リアルに息ができなくなっていました▼
 心臓が痛い。熱もきっとある。絶対そう。


「オレはまだ候補オレはまだ候補オレはまだ候補……」


 そしてとうとう壊れた▼


 ――――――…………
 ――――……


(はあ。……かわいすぎる)


 部屋を出ても動けなくて、扉を背にズルズルとへたり込んでいた。寂しそうな顔をしていたあいつがかわいすぎて。……よく我慢したオレ。よく頑張ったオレ……。


(ていうかまた無意識だった。また服掴んでたし、あいつ……)


 そんなにオレに、そばにいて欲しかったのかよ。
 ……オレだっていたいし。つうか離れたくないし。オレだって一緒だし。


(でも今は、カナタさんとクルミさんを優先するべきだから……)


 オレはまだ候補オレはまだ候補オレはまだ有力候補……て、なんとか耐えましたけど。


(……どうしよう。結構冗談だったのにな。いや、本気だけどさ……)


 それは、あいつの耳を塞いで二人にオレが言ったこと。


『お礼は、“これ”でいいですよ』


 カナタさんがオレなんかに、感謝してもしたりない……なんて言うから。しかも『これ』扱いだったのに。


『……ま、もらいに行きますよ。そのうち』


 そりゃそうする気満々だけどさ。あんな軽々しく言うようなことじゃないし、二人もちょっとくらい怒るとかすればいいのに。


(なんで嬉しそうに笑うんですか『バカだなこいつ』って思ったんですか『やらねーよ』っていう牽制ですか)


 いや、んなわけないけど。あの二人に限って、絶対そんなことはないだろうけどっ!


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